最近登山を始めたけど、やっぱり北アルプスに憧れる。
中でも、上高地から穂高岳と槍ヶ岳を縦走するコースは、上級者向けって言うけど、
僕と同じように、登山初心者で登った人のリアルな話を聞いてみたいな。
コースの詳細はガイドブックを見ればわかるけど、
実際に登った人は、どんなことを考えたり、感じるんだろう?
知り合いに詳しい人いないし、初心者で登った人の話が聞いてみたいな。
こんな疑問に答えます。
こんにちは、のらです。
この記事では、まだ当時、登山初心者だったぼくが、上高地から穂高岳と槍ヶ岳を、徹夜で縦走した時の体験談を書いています。
当時の僕は、富士山にしか登ったことがない初心者だったんですが、どうしても登ってみたくて、1人で突撃しました(笑)
登山初心者だったぼくが、上高地から穂高岳と槍ヶ岳を、縦走したとき体験談です。
登山未経験の人や初心者の人にも、登った時の臨場感が伝わるように、リアルな心情を織り交ぜながら書いてみました。
これから北アルプス登山に行く人の参考になればうれしいです。
では、いきます。
【北アルプス縦走】初心者が穂高岳と槍ヶ岳に向かう経緯について
初めて富士山に登ってからというと、次はどこの山に行くか、毎日山のことばかり考えていた。
中毒になったというと大げさかもしれないが、そんな感じになっていた。
槍ヶ岳、八ヶ岳、剱岳、北岳・・・挙げだしたらきりがない。
北アルプスから南アルプスまで登りたい山だらけだ。
都内から、北アルプスや南アルプスなどの本格的な山に登るとなると、最低でも2日は休みが必要になる。
仕事の関係上、連休は取れても月に1回か、多くても2回までしか取れない。
そんな、行きたくてもいけないもどかしさの中、指折り行ける日を待ちながら、富士山の次に登る山を考えた。
【北アルプス縦走】穂高岳と槍ヶ岳 日本の屋根 北アルプス
富士山の次に選んだのは、槍ヶ岳(標高3,180m)
選んだ理由は、かっこよかったから。
3000mを超える標高に、槍ヶ岳という名前や響き、天を突きさすような鋭い山容。
山好きなら誰もが憧れる山の中の山だ。
見たことがない人に、山の形を分かりやすく表現すると、スナック菓子の”とんがりコーン”を想像してもらえれば、イメージしやすいかもしれない。
こうしておれは、富士山に2か月で6回登ったという自信と慢心を胸に、日本の”とんがりコーン”、日本の”マッターホルン”と呼ばれる、名峰「槍ヶ岳」に1人向かった。
【北アルプス縦走】初心者を待っていた音のない世界
槍ヶ岳に登るにはいくつかルートがあるが、その中から、上高地から穂高岳を経由して、槍ヶ岳まで行くルートを選んだ。
日曜と月曜の連休がとれたので、さっそく、都内から上高地に向かうバスのチケットを予約した。
日曜日は朝7時頃発した。
この日曜は、3連休の真ん中で道はかなり渋滞していた。
予定では、昼ごろ上高地のバスターミナルに着く予定だったが、結局着いたのは午後の3時前だった。
9月の頭ということもあり気温は高く、近くの川では、はしゃいで水浴びをして遊んでいる、若いグループがいた。
事前に一応地図を確認して、なんとなく登山の計画は立てていたが、到着時間が大幅に遅れたために、さっそく登山の計画は崩れることになった。
この時点での登山計画は、下記の通り。
日曜午後3時上高地出発→穂高岳→槍ヶ岳→月曜午後1時上高地バスターミナル着。
とりあえず帰りのバスの時間までに槍ヶ岳に登って帰ってくるというもの。
こうして、予定より約3時間ほど遅れて、日曜の午後3時に登り始めた。
基本的に登山は、朝早い時間に出発するので、この時間から登る人はいないようだった。
途中で下山中の男性2人組に会い、声をかけられた。
「これから登るんですか?」
時間が遅いのはわかっていたが、時間がないのでしょうがなかった。
登り始めて何時間たった頃だろうか。
穂高岳の近くの稜線に出た。
稜線から、遠くの空に夕日が見えた。
空、雲、周りの山、遠くの町、足元の草、目に見えるすべての景色が夕日色に染まっていた。
そしてさっきまで吹いていた風が、いつの間にか止んでいた。
標高3000m近い山の稜線に1人でいるときに、風が止むとどうなるか。
すべての音が消える。
すべての音がしない完全なる無音の世界になる。
目の前に広がる幻想的な風景×完全な無音という状況
=一瞬何が起こったのか分からなくなる。時間が止まっているのかと錯覚する。
美しい風景というのは何度か見たことはあったが、無音というのは初めての体験だった。
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【北アルプス縦走】登山初心者VS穂高岳の化け物
しばらくすると、日が落ちて夜になった。
そして、夜8時ごろ穂高岳山荘に着いた。
山小屋の前にはいくつかテーブルと椅子があって、ビールを飲んだり、談笑したりしている人たちがいた。
ここでテント泊する予定だったが、寝ていたら、帰りのバスに間に合わなくなるので、そのまま通過した。
ただ、喉が渇いていたので山小屋の売店でビールを買って飲んだ。
そこからは真っ暗な北アルプスの稜線を1人黙々と歩くだけっだ。
どんなところを歩いているかというと、足場は土というより岩場がずっと続いている感じで、大小の岩の隙間を縫って歩くといったところだろうか。
登山道の両脇は下まで、切れ落ちている。
下をのぞき込んでも、暗闇が広がっているだけだった。
登山道には、登山者が道を間違えないように、所々の岩にペンキで、矢印が書かれている。
たまに岩に書かれている、矢印を確認しながら、ライトの明かりを頼りに歩いていくと、目の前に化け物のような大きな岩の壁が現れた。
正確には岩の壁ではなく、山の斜面なのだが、暗闇の中、ライトの小さな明かりに照らされた山の斜面は、間違いなく化け物に見えた。
この化け物を登るのか?少しだけ躊躇するが、行くしかない。
化け物を越えてしばらく行くと、更にびびる展開が待っていた。
さっき越えたばかりの化け物より、さらに大きな化け物が目の前に現れた。
「マジか・・・。さっきので終わりじゃないのか・・。これ登るのかよ。」
結局、全部で3回か4回も同じような状況に遭遇することになった。
ただの山の斜面なのだが、斜面が急峻で山肌が岩場なので、暗闇の中から、小さなライトで照らすと、どうしてもでかい化け物に見えてしまう。
ドラクエのボスがリアルで現れたら、こんな感じじゃないだろうか。
そんな感じで、夜中の誰もいない北アルプスの稜線を歩いていく。
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【北アルプス縦走】登山初心者が穂高岳稜線で見た幻
日付が変わった頃だろうか、視界の先に人影が見えた。
おれのほかにも登っている人がいるんだ。
ずっと1人で心細かったので、ほっとした。
話がしたくて声をかけてみたが、返事がなかった。
変だなと思いながら近づいてみると、それは人ではなくただの岩だった。
「なんだ見間違いか。せっかく人に会えたと思ったのに。」
がっかりしながらも、また歩き始める。
この辺りからだっただろうか。疲労で足取りが重くなってきて、歩くペースが遅くなってきた。
たまにウエストポーチに入れておいたカロリーメイトを食べながら、歩き続けた。
しばらく行くと、人影が見えた。
今度こそ間違いない、人だ。
やっと人に会えた。
「こんばんは」
反応がなかった。またしても岩だった。
しばらく行くと、今度は岩の上に2~3人の人が立っているのが見えた。
おれは人だと疑わなかった。
「きっとここから朝日がきれいに見えるんだろう。
日が昇るまではだいぶ時間があるが、それだけ熱心な人なのだろう」と思った。
近づくとまたしても見間違いだった。
この後も何回も人影を見た。
全部が、おれにははっきりと人に見えた。
目をこすって、今度こそは人だ、と思って近づくがことごとく見間違いだった。
よく、ヒマラヤなどの高峰登山に行った人の話で、幻覚や幻聴の話が、出てくるが、こんな標高の低いところでも幻覚をみるものなのだろうか。
このようにして、体力的にも精神的にも脳的にも疲労を感じながら、また歩みを進めていく。
暗いので見通しがきかない。
見通しがきかないので先が見えない。
見えないのであとどのくら歩けばいいかわからない。
溜まり続ける疲労の中、暗闇の中、1人きりでずっと行動し続けるのは、思った以上に大変だ。
早く日が昇って欲しかった。
明るければ、この心細さも不安な気持ちも、少しは減るに違いない。
【北アルプス縦走】槍ヶ岳の陽をみて初心者は何を思うのか
4時半だったか5時ごろだったか、遠くの空が白み始めたのが見えた。
ほっとした。とにかくほっとした。
白み始めた遠くの空を眺めつつ、暗闇の世界から抜け出した安堵感を感じながら、放尿をした。
こんなにも朝が待ち遠しかったことはない。
元気が出てきた。
遠くにうっすらとだけ見えた、槍ヶ岳のとんがったシルエットも、空が明るくなるにつれて、はっきりと見えるようになってきた。
しかし、前日の朝早く起きてから、すでに24時間を越えている。
さらに登り始めてから12時間を越えたので、眠気もそろそろピークだ。
平らな場所を見つけて、ザックを枕にして横になった。
10分ぐらいだろうか、少しだけ眠ることができた。
そして、8時過ぎに槍ヶ岳の頂上直下にある、山小屋”槍ヶ岳山荘”についた。
小屋に入ってみると自販機があり、ピーチネクターを買って飲んだ。
疲れた体に、ピーチの甘さがじんわりとしみ込んでいった。
【北アルプス縦走】初心者は立った。槍ヶ岳の頂に
小屋を出て、頂上に向けて最後の登りに向かった。
頂上に向かう急な斜面を登っていくと、最後にはしごが出てきた。
いくつかあるはしごを登りきると、そこが槍ヶ岳の頂上だった。
頂上は大人が10人立てるぐらいの広さで、小さな祠があった。
祠の前で写真を撮って、少し景色を眺めてから下山に向かった。
頂上に立った感動もそれなりにあったが、眠気と疲労の方が強かった。
午後1時のバスなので急いで山を下りなければならない。
下山を開始してから、何時間たったか覚えてないが、上高地まであと1時間ほどのところまできた頃だったか、眠気がピークに達した。
それでも気合で歩き続けたが、途中で意識を失ってしまい、気が付いたら、木が目の前に迫ってきていた。
危うく木に突撃するところだった。
強烈な眠気と闘いながら、最後の気力を振り絞り、1時前に上高地のバス停にたどり着いた。
前日の午後3時に出発してから、約22時間に及ぶ旅が終わった。
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山好きが読むべき本
やっぱり山野井泰史さんの本ですね。
ものすごく純粋さを感じます。
登山家って名誉とか記録の為に登る人もいますが、
そうじゃなくて、ただ単純に山を愛している。
登るという行為を愛している。
そんな純粋さに心を打たれてしまう。
山野井泰史さん関連の本がいくつかあるので最後に紹介します。